人権・人材マネジメント

人権・人材マネジメント

人権に関する基本的な考え方

当社グループは、事業活動が影響を及ぼし得る人々の人権を尊重する責任があることを認識し、この責任を果たすよう努めます。
当社グループは、「国際人権章典(世界人権宣言・国際人権規約)」、国際労働機関の「労働における基本原則および権利に関する宣言」を支持し、尊重しています。
また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく取り組みの実行を通じて、人権尊重の責任を果たす取り組みを進めていきます。

会社および従業員が守るべき行動規範として定める「ベルク行動基準」では、従業員のゆとりと豊かさを実現し、働きやすい環境の確保、従業員の個性と意欲を尊重するため、以下を方針とします。

  • 基本的人権を尊重するとともに、人種・宗教・性別・国籍・障害・年齢等に関する差別的言動を行いません。
  • 個人の多様な価値観を認め、プライバシーを尊重し、ハラスメント(嫌がらせ)・暴力等の行為のない明るい職場を作ります。
  • 良識と豊かな人間性を備えた、自立した社会人としての責任をもって行動するよう努めます。
  • 人事制度や研修・教育などを通じて、挑戦意欲にあふれる人材の育成と、能力向上のために自己研鑚に努めます。
  • 安全かつ衛生的な職場環境を維持し、従業員の健康を重視した快適な職場環境の確保に努めます。

人材マネジメントに関する基本的な考え方

ベルクの経営理念は、社名の由来でもある「Better Life with Community(地域社会の人々に より充実した生活を)」であり、これをコンセプトに生鮮食料品を中心に地域密着型のストアづくりに取り組んでいます。
小売業は変化対応業であり、常に時代の変化を見据え、社会環境の変化に対応していかなければなりません。当社グループの中長期的な企業価値の向上を図り、持続可能な社会の実現へ貢献するために、人材育成および社内環境整備は重要な経営課題の一つであると認識しています。

人材育成方針

当社グループでは、「様々な課題を解決し、新しい価値を創り出す人間力のある人材」の育成を目指し、一人ひとりのレベルや立場、特性に応じた教育プログラム、技術や知識の習得を行うトレーニングセンターの設置、デジタルツールの活用、体験型学習への転換等、変化を楽しみながら、お客様の笑顔を見たい、地域に貢献していきたいという従業員の成長をサポートしています。
2024年度に実施した能力開発研修の総時間は、延べ130,161時間で、正社員1人当たりの年間研修時間は49.9時間でした(ベルク単体)。

  • 階層別・職種別研修(新入社員・フォローアップ・スペシャリスト・キャリア採用)
  • 技術研修(作業技術・商品知識・販売知識・産地視察・工場視察)
  • 管理者研修(部門チーフ・副店長・店長・課長塾)
  • 特別研修(若手人材育成・ビジネススキル・食とマナー)
  • 部門横断したテーマ別勉強会(商品開発・デジタル学習)
  • 外部セミナーへの派遣
  • 自己啓発支援(通信教育・デジタル学習ツール・社内資格認定試験)

社内環境整備方針
従業員一人ひとりが能力を発揮するには、「従業員が前向きにチャレンジできる社内環境の整備」が不可欠であると考えており、様々な取り組みを推進しています。

  • 仕事のやりがいを醸成する従業員エンゲージメントの向上とハラスメント対策
  • 仕事とプライベートを両立し、働きやすさを実現するワークライフバランス
  • 多様な視点や価値観を共有し、従業員の個性と能力を発揮するダイバーシティの推進
  • 従業員が心身ともに健康であることを推進する健康経営・労働安全衛生の取り組み

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメント
従業員一人ひとりの能力が最大限発揮できるように従業員との良好な関係をつくり、仕事のやりがいを醸成する取り組みを推進しています。

  • 商品開発、接客、教育への取り組みに優れた社員に対し成績優秀者表彰
  • 技術、知識に優れた社員に対しマイスター表彰
  • 一人ひとりの立場、特性に応じたプラン、カリキュラムを設定した「1on1」面接
  • 自己申告制度(従業員が会社に対して感じている総合的な満足度調査)

従業員への還元
ベルクは、「経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力する」ことを方針としています。
その上で、生み出した収益・成果に基づいて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、それ以外の総合的な処遇改善としても、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、人材投資を中心に積極的に取り組むことを通じて、従業員への持続的な還元を目指しています。
賃金の引上げについては、社会情勢や経営環境を考慮しつつ、適切な定期昇給、人事評価制度を通じた役割・成果に応じた評価・報酬制度の適正性向上、業務効率化による労働環境改善等も含めた総合的観点での賃上げに取り組んでいきます。
また、人材投資については、研修制度の拡充や自己啓発支援制度の活用による人材育成強化、人材の多様性の推進等により、人的資本の拡充に取り組んでいきます。

ハラスメント対策
ハラスメント行為は、人権侵害にあたるだけでなく、従業員のメンタル不調・モチベーションの低下につながる等、企業価値向上を阻害する課題として、経営陣のみならず、従業員一人ひとりが予防・防止に取り組むことが重要と考えます。
毎年4月を「ハラスメント防止啓発月間」とし、全従業員向けにトップメッセージの発信、ハラスメント防止研修の実施、ポスターの掲示等を行い、予防・防止への意識を高める機会として取り組んでいます。

新任の管理者および部門管理者に対するハラスメント研修では、ハラスメントの類型、ハラスメントが与える影響の理解、防止対策、相談を受けた場合の対応について教育・啓蒙を実施し、ハラスメントを起こさせない環境づくりに努めています。
ハラスメント行為の相談・通報窓口として、コンプライアンス委員会が運営する「従業員情報ダイヤル」を設置し、必要に応じて調査・是正措置を行なうこととしています。相談・通報者および内容に関する情報の取り扱いは、秘密保持が図られるよう適切な措置を講じています。

また、当社グループは、地域社会の人々により充実した生活を提供するために事業活動を行い、お客様との関係を大切にしていますが、時にはお客様からの不適切な言動や行為によって、従業員が困惑したり、不快な思いをすることがあることから、2023年11月に従業員の安全配慮義務の観点からこのような課題に対する行動指針を定め、公表・店内掲示を行いました。
2025年2月には、従業員への実態調査結果から接客時の名札(名前の非表示)を変更し、従業員の心理的負担の軽減、プライバシーへの配慮を行っています。

ワークライフバランス

仕事とプライベートを両立し柔軟な働き方ができる職場環境の整備は、従業員の成長を促し、業務が効率化するだけではなく、従業員の健康維持、多様な人材の活躍につながると考え、従業員一人ひとりの「働きやすさ」の実現を目指しています。

  • 労働時間を適正化し、過剰労働時間を削減するための部門横断会議の開催
  • 地域選択できる社員区分の導入
  • デジタルの積極的な活用によるテレワークの推進
  • 多様な働き方実践企業認定制度(埼玉県)の「プラチナ」認定
  • 出産・育児、介護と仕事の両立支援
  • 従業員の個性を尊重した身だしなみ基準の緩和

次世代育成支援のための行動計画

2005年4月より施行された「次世代育成支援対策推進法」を実践していくために、以下のとおり行動計画を策定しています。すべての社員がその個性と能力を充分に発揮し、安心して働きつづけることができるような雇用環境を整備し、仕事と子育てを両立させ、次世代育成支援について地域に貢献できるような策定内容とし、取り組んでいきます。

  • 男性従業員の育児休業取得率を70%以上にする
  • 男性従業員の育児休業取得者のうち、1か月以上取得する割合を50%以上にする
  • 雇用するすべてのフルタイム労働者一人当たりの各月の法定時間外労働および法定休日労働の合計時間数を平均25時間未満とする
  • キャリア形成のサポート強化

2024年度においては、従業員が安心して長期的に働ける職場環境の整備のため、新たに2つの制度を導入しました。2024年9月からは、従業員が不幸にも亡くなった際に、その遺族を支援する新たな制度「従業員遺族サポート制度」を導入しました。この制度は、従業員が安心して働ける環境を提供するとともに、万一の場合でも、遺族が安心して暮らせる環境を整えることを目的としています。
また、2024年10月からは、新卒で入社する正社員を対象に「奨学金返還支援(代理返還)制度」を導入しました。この制度は、独立行政法人日本学生支援機構から奨学金を借りている社員に対し、ベルクおよびホームデリカが同機構への返還を代理で行うことで社員の心理的および経済的な負担を大幅に軽減し、この支援を通じて社員が安心して長期的に働ける環境を整えるとともに、個々のキャリア形成とモチベーションの向上に繋げることを目的にしています。

出産・育児と仕事の両立支援
仕事とプライベートのバランスを意識した企業として、仕事と育児との『両立支援』にも取り組み、埼玉県認定の「多様な働き方実践企業」の最高ランク「プラチナ」に認定されています。

ベルクは、2024年2月にワークライフバランスと育児への理解促進の観点から、「男性育休100%取得」を宣言しました。女性従業員の育児休暇取得率が100%である一方、男性従業員の取得率は1割程度と低い水準であることが課題でした。2022 年4月に育児・介護休業法が改正されたことを機に、男性従業員への育休取得意向の強化、育児休暇取得対象者に対する育児休業によるメリット、様々なサポート体制の周知を行い、また、育児休暇中の代替人員体制を整備することで、2030年までに100%取得を目指していきます。

また、出産・育児と仕事の両立支援を実現する様々なサポート体制として、子育てシェアサービス「AsMama(アズママ)」利用料の半額補助、育児休業中や短時間勤務の従業員に向けた講習会、親子で楽しむ体験イベントの開催をしています。

ダイバーシティの推進

多様な視点や価値観が存在することが、会社の持続的な成長を確保する上で強みとなるとの認識に立ち、従業員の個性と意欲を尊重し、ダイバーシティの推進に取り組んでいます。

女性活躍推進
女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、2021年4月から2026年3月までの行動計画を策定しています。現状においては、正社員における女性の比率が低く、また、平均勤続年数において差があるとの課題認識から、目標を設定し取り組みを推進しています。

  • 正社員に占める女性の割合を現状の22.6%から25%までに引き上げる
  • 女性の平均勤続年数を男性の平均勤続年数に対して70%以上とする

働く女性従業員に向け「誰もが働きやすい会社」を実現するため、キャリアプラン形成、働く環境および女性特有の課題等について、女性の働き方・女性活躍をテーマにプロジェクトを立ち上げ、従業員アンケートや研修を通じ、その改善に取り組んできました。2025年3月に、女性活躍推進をはじめとするダイバーシティに関する専門部署「キャリアイノベーション室」を設置し、女性管理職・スペシャリストの育成およびキャリア支援等、多様な人材が活躍できるキャリア開発と組織全体の生産性向上を推進することとしました。

管理職に占める女性正社員の割合は、取締役および監査役の女性比率が23.5%(17名中、女性が4名・ベルク単体)である一方で、課長級以上の女性比率が3.6%(2024年度)にとどまっている現状を踏まえ、当社グループの中期経営計画において2030年までに10%に引き上げる目標を設定し、その実現に取り組んでいきます。

また、取締役会におけるジェンダーダイバーシティを積極的に推進し、2030年までに女性取締役の割合を30%に引き上げるため、女性リーダーの育成プログラムの導入、女性のキャリアパスの支援、多様な候補者の中から適任者を選出するプロセスを強化し、その実現を目指していきます。

同じ役職や職務の従業員に同じ額の賃金を支払う「同一労働同一賃金」の考え方のもと、職位に応じた給与体系となっています。
現在の正社員における男女別平均賃金差は、平均年齢および平均勤続年数の違いから生じていることから、女性の働きやすく、勤務を継続できる環境の整備が必要であると認識しています。
また、最低賃金以上の給与の支払いや同一労働同一賃金を徹底することで、雇用形態に関わらず全従業員に対する適切な待遇の提供に取り組んでいきます。

2024年度(第66期)(連結)

正社員に占める女性の割合 女性の平均勤続年数(対男性平均比) 労働者の男女賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)
全労働者 正社員 パート
26.5% 60.0% 49.7% 69.6% 99.9%

外国人採用
当社グループでは、国籍に関わらず積極的に外国人採用を行っています。2023年度から、インド人のシステムエンジニアを新規採用を開始しました。また、外国人技能実習生や留学生が安心して実習や勤務ができるように体制を整えています。
一人ひとりの個性や多様性を尊重しながら、組織で活躍できる職場づくりに取り組んでいます。

障がい者雇用
当社グループの障がい者雇用は、法定雇用率の達成は当然ながら、障がい者の方々が当社グループの一員として個々の特性や強みを生かして働く職場づくりを目指しています。
採用に当たっては、特別支援学校・就労支援機関・ハローワークをはじめとしたサポート機関と連携し、業務や職場環境を理解したうえで採用を行っています。
当社グループにおける2024年度の障がい者雇用人数は、365名、雇用率は4.03%でした。

ベルクは、2019年に障がい者雇用優良事業所として「厚生労働大臣表彰」を受賞しました。
2020年には、障がい者就労農園「わーくはぴねす農園さいたま川越(埼玉県川越市)」に参画し、地域の障がい者を雇用し、農園で栽培した野菜を近隣店舗で販売を行なう、スーパーマーケットならではの取り組みを開始しています。

健康経営・労働安全衛生

健康経営宣言
当社グループは、従業員一人ひとりの健康が企業の持続的な成長の基盤であると考え、健康経営を積極的に推進します。
当社グループは、健康経営の実現がリスクの減少のみならず中長期的な企業価値の向上につながる重要な経営課題であると認識し、経営理念である「Better Life with Community(地域社会の人々に より充実した生活を)」の実現には、従業員が心身ともに健やかに働くことが必要不可欠であり、そのために健康で活力のある職場環境の整備に努める必要があると考えます。
当社グループでは、役員および従業員が守るべき行動規範である「ベルク行動基準」においては「安全かつ衛生的な職場環境を維持し、従業員の健康を重視した快適な職場環境に努めます」とし、倫理規範である「商売六訓」においては「働いている従業員も健康で幸せになろう」と明文化することで、役員および従業員がこの価値観を共有しています。

健康経営推進体制
健康経営の推進体制と取組内容として、代表取締役社長が委員長を務める「リスク管理委員会」において、課題に対する方針の策定、健康経営を担当する取締役の任命(大杉佳弘常務取締役)、リスクと機会の特定、指標と目標の設定のほか、取組計画の承認および進捗状況の監督を行っています。リスク管理委員会は、2か月に1度の頻度で開催され、健康経営の推進に関する取組状況の確認を行い、その議事内容は、委員会事務局(業務サポート部)が作成する議事録を取締役会に報告し、取締役会との連携を図っています。
2024年3月には、専門部署「メンタルヘルス室」を設置し、ストレスチェック等のサーベイ結果を分析し、課題の抽出、対策の立案を行い、不調者の発生を未然に防ぐ体制を整備しました。
人事教育部およびメンタルヘルス室を中心に、従業員組織である労働組合との協議、健康保険組合との連携を図り、定期健康診断の実施とフォローアップ、健康増進プログラムの実践、メンタルヘルスケア等の取り組みを推進しています。

従業員の健康保持・増進の取り組みは、当社グループの将来の企業価値に大きな影響を与える要素であり、従業員の健康状態の悪化は、企業の生産性を低下させることになり、さらには、人材の定着率の悪化等、有能な人材の確保・定着にも悪影響を及ぼす可能性がある重要な経営課題の一つとして認識しており、当社グループでは、健康経営を推進するため、次の項目に取り組んでいきます。

  • 従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
  • 健康経営の実践に向けた土台づくり
  • 従業員の健康づくりに関する施策の実行

ベルクは、2025年3月10日付で、経済産業省と日本健康会議が共同で認定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。健康経営を積極的に推進することで従業員一人ひとりの健康を企業の持続的な成長の基盤につなげるため、健康経営に関する組織体制、制度や施策の整備をさらに推進していきます。

労働安全衛生
従業員の安全と健康保持、労働災害事故防止等のため、各拠点で労働安全衛生委員会を開催し、その意見を反映させています。委員会では、労働災害の発生状況や労働時間の管理状況について確認、報告、対応を行っています。また、職場での安全確保の意識醸成のため、毎年8月を「労災防止強化月間」とし、全従業員向けにトップメッセージの発信、重点項目の共有および対策の啓発活動を行っています。
当社グループにおける2024年度の労災発生件数(休業1日以上)は78件であり、100万労働時間当たりの発生件数を表す度数率は3.58でした。
労働安全衛生に関する主な取り組みは、以下のとおりです。

  • 労働時間適正管理会議の開催
  • 労災防止月間の設定
  • 職場での危険防止教育や啓発活動
  • 重症事故が発生した際の全従業員共有
  • 腰痛予防ストレッチの導入

2024年度においては、従来の立ち姿勢でのレジ接客を見直し、従業員の身体的負担を軽減することでより良い接客につなげていく取り組みを開始しました。この取り組みはSAFEコンソーシアムが主催し、労働災害防止の取り組みを表彰する令和6年度「SAFEアワード」において、安全な職場づくり部門の「ゴールド賞」を受賞しました。