突然だが、私は無類のコーヒー好きだ。朝昼晩と必ず飲んでしまう。特にスッキリとした"のど越しの良い"アイスコーヒーが好きだ。そんな私が最近よく飲んでいるコーヒーがある。猫が目印の『くらしにベルク わりとおいしいブラックコーヒー無糖』だ。
これは文字通り、わりとおいしい。クセも無くスラっと飲みやすいチルドコーヒーなのだ。
なぜか猫のパッケージなのだが、これを商品開発担当者に聞いた時、「疲れていたからかな(笑)」と笑って答えた。どういうことなのか気になりコーヒー片手に話を聞いた。ゆるいテイストとは相反した苦労と根気の開発秘話が聞けたので皆さんにお届けする。

話はさかのぼり数年前。バブル崩壊以降の過去30年間でも類を見ない"記録的な値上げラッシュ"と連日報道が流れる中、原料高・原油高・円安のトリプルパンチで生活に密着している食品は大打撃。メーカー品は値上げを余儀なくされてしまう状況。
そんな中、商品開発担当者は危機感を感じていた。「お気に入りのあのカフェラテも値上りしてしまう!」当然、自分のことだけではない。人気の商品が値上りすることの意味は十分理解している。「お客様には負担はかけたくない」「でも、美味しさには妥協したくない」そう感じた商品開発担当者は覚悟を決めたのだ。「だったら・・・自分たちでつくればいい!」そうして商品作りがスタートした。とはいえ、現実は厳しい。
どこも原料の値上げラッシュで、発注ロットの問題も加わり、いくつものメーカーと交渉を重ねたがいずれも厳しい回答ばかりで商品開発は難航。ようやく色々な条件が揃って開発に着手できたのは、なんと一年後だった。そこからコスト高と闘いながらも美味しい原料を選び、配合や製法のトライ&エラーを繰り返してようやく、MAX美味しく満足のいくものができた。

満足できる味に仕上がったら最後は商品パッケージ。ここまで苦労して完成した商品だ。せっかくなら、できるだけ多くの人に味わってもらいたい。商品開発担当者は味の追求と並行して商品パッケージの原案も考えていた。ライバル商品の調査だけでなく、商品を並べる陳列棚とのにらめっこが続いた。その光景はカラフルで主張にあふれていた。
「王者達の知名度や風格には敵わないし、一生懸命愛情込めて作ったし、量で勝負!安いよ!は違うかな…。あぁどうしよう…。なんかもう疲れちゃったなぁ…」
リラックスとはなにかと哲学的になっていたとき、ふと猫に目がとまった。なにかに導かれるように猫のパッケージを提案した。それが意外にも社内で好感触。さらに、ベルクの猫好きたちにも「いいじゃん!」「可愛い!」と背中を押され本採用となった。
ゆるい猫を背負った商品開発担当者渾身のカフェラテは、こうして完成した。発売にこぎつけたのは、2024年の2月だった。
後日、SNSで調べてみると、お客様にも "わりと" 好感触のようだ。味だけでなく、その猫が愛されていることがよくわかる。ところで、皆さんはもう召し上がっただろうか?まだの人はぜひお試しいただければ幸いだ。