ワイン担当バイヤーKには着任時から一つの夢があった。かつて彼自身がヨーロッパでたしなんだ、とあるワインを日本のお客様にお届けすることだった。そのワインの名は「ヴィーニョ・ヴェルデ」。ポルトガル語で通称「緑のワイン」と謳われるこのワインは、ポルトガル北部で造られ、ポルトガル内外問わず、ワイン好きにも愛される、爽やかな微発泡の白ワインである。
では、星の数ほどあるワインの中で、なぜバイヤーKはこのワインをベルクのお客様にお届けしたかったのか?ソムリエの資格も有するバイヤーKにとって、「どうやったら?どんなワインが?日本のお客様にも受け入れてもらえるのだろうか?」と悩む日々が続いていた。
欧州に比べて湿度の高い日本では、ビールや酎ハイなどが好まれ、ワインの売り上げが伸び悩む中、彼は昔飲んだ一本のワインを思い出した。暑い夏だったにも関わらず何杯でも飲めてしまったあのワイン…それこそがビールやカクテルにも負けない爽やかさを誇る「ヴィーニョ・ヴェルデ」であった。
日本で手に入るヴィーニョ・ヴェルデを買い集め、テイスティングしていく中で、日本料理にも合わせやすく、夏をはじめ季節を問わず様々なシーンで楽しめるワイン、それが「ヴィーニョ・ヴェルデ」であると彼は確信した。しかしながら、日本で買うことができる「ヴィーニョ・ヴェルデ」はどれも1,000円以上の相場だった。これでは、「とりあえずビール」といった具合に、気軽に飲むことはできない!

そこで、コロナ禍も終焉を迎え、海外出張が許されるや否や、バイヤーKは「毎日愉しめる最高のヴィーニョ・ヴェルデ」を探すためにドイツで開催されていたワイン見本市に飛び立ったのであった。世界一大きいワインの見本市の会場を、「MIDORI、みどり、VERDE、ミドリ…」とぶつぶつ呟きながら狂ったように三日間も歩き回るバイヤーKを横で見て、同行していた輸入担当Hは心配になっていた。そして、呪文を唱え続けるバイヤーKが、会場のセキュリティにつまみ出されるのではないか、とHが心配し始めたその時、ついに彼はとあるワインの生産者に出会ったのであった。
華やかな香りが弾ける微発泡の心地よさ…これだ!!と、その場で価格交渉も行い、即時直輸入することを決めたのだった。爽やかな緑ワインを連想して名付けたワイン名「WAKABA(ワカバ)」ぜひベルクの店頭で手に取っていただきたい一本だ。